今回は、定着化から考える「やる気」について考えてみます。
「やる気」が大事だなんて当然わかってるし、そのための制度も作ってる。そんな声が聞こえてきそうですね。
それでは改めてお尋ねします。社員の「やる気の根源」をちゃんと理解できていますか?
そもそもやる気ってどこから出てくるものでしょうか?なぜ大事なんでしょう?
やる気がなくても、成果さえ出してくれたら良いのでは?そう思いませんか。
当たり前すぎて、わかったつもりになりがちな「やる気」。
「定着する人材を育てる」という観点から、改めて「やる気」について深掘りして考えてみましょう。
「やる気」はなぜ必要なの?
質の高い仕事をしてもらうためには、やる気があった方が良いですよね。
最近では、業種を問わず生産性の向上が課題となっていて、その生産性向上の要因としてモチベーションが話題になることも多いです。
しかし、やる気は、何よりも「会社経営」にとって重要なテーマでもあります。
やる気になっている「理由」は何か?
モチベーション高く、意欲的に働いてくれている社員からは、やる気が感じられます。とっても嬉しいですよね!
その姿を見て、
「仕事を楽しんでくれているな」
「やりがいを感じてくれているんだな」
と思うのは当然のことでしょう。
ですがそれって、思い込みかもしれません。なぜなら、モチベーションの根源は人それぞれだからなんです。
つまり、がんばって働いてくれている「理由」が、「会社の外にある」可能性があります。
「他にやりたい事があるから経験を積みたい」
「子ども生まれるからとにかくお金を稼ぎたい」
など、仕事そのものとは関係がない理由でがんばっているだけかもしれないのです。
がんばっているのは事実だし、良い仕事をしてくれているならそれでいいんじゃない?って思いますよね。たしかに短期的にはそうでしょう。
モチベーションの高い社員は理由に関わらず会社の利益になります。
しかし、中長期的に見るとそうでもないのです。
離職につながる?必要なのは「仕事満足度」
がんばる理由が会社の外にあると、何が問題なのでしょうか?
がんばって働いてはいるのですが、あなたの会社で働くことが本来の目的ではないのですから、究極的に言えば「今の仕事・今の職場でなくても構わない」というスタンスで働いていることになります。
これって問題ですよね?他に条件の良い職場が見つかれば、すぐに転職活動を始めてしまうかもしれません。
もっと問題なのは、やる気のない社員と違って「離職の兆候が掴み辛い」ことです。
一見、意欲的な仕事ぶりに見えますので、今の職場に満足していると思い込んでしまいがちになります。
何の不満も感じ取れなかった優秀な社員が、離職の兆候を全く見せず、ある日突然に辞めてしまう…、なんてことに。
これは企業側にとっては恐怖でしかありません。
定着する人材を確保するためには、「がんばる理由」を「社内」に持ってもらうことが欠かせない条件なのです。
つまり、やる気の根源があなたの会社で働く「仕事満足度」である必要があります。
内発的動機と外発的動機
ここで、そもそも「やる気」ってなんでしょう。考えてみたことはありますか?
・仕事の内容に興味がある
・やりがいを感じて楽しい
・もっと高い給料が欲しい
・すごいって褒めてもらいたい
働く上でこのような感覚があれば、やる気につながりますよね。
この4種類のやる気は、大きく2つに分けることができます。
最初の2つは「内発的動機」
・仕事の内容に興味がある
・やりがいを感じて楽しい
は「内発的動機」
後ろの2つ
・もっと高い給料が欲しい
・すごいって褒めてもらいたい
は「外発的動機」
と呼ばれるものです。
内発的動機は、好奇心や探求心、向上心など本人の内部から発生する「やる気」。
外発的動機は、周りからの評価、成果に対する報酬、できなかったときの懲罰など外部からもたらされる「やる気」。
もうおわかりと思いますが、マネジメント的には、外的動機付けの方が短期的に効果を発揮しやすいです。
給与を上げたり、成果を上げたら「褒めて」あげればいいわけです。
ですから、やる気を起こさせるには「目標の達成にインセンティブを与える」という単純な入口を作るやり方でOKです。
ただし、どこかの段階で内発的動機の発生を促さなければ、定着する人材は育ちません。
「この会社で働き続けたい」
「この会社でならずっとがんばれる」
「この会社で働いていることに誇りを持っている」
そう思ってもらうためには、本人の「ここに居たいから居る」という個人的な意思が不可欠です。
内発的動機付けの費用対効果
内発的動機をやる気の根源とする社員は、会社がピンチの時も力を発揮してくれます。
会社の業績低下が理由で、社員が得られるインセンティブが低下したというケースで考えてみて下さい。
外発的動機付けで働いている社員は、「インセンティブそのもの」が目的ですから、当然のようにモチベーションも下がりますよね。
ピンチに陥った会社を支えるよりも、給料など条件の良いやる気の出る職場を外に求めて、いち早く転職活動に走るかもしれません。
一方、社内に内発的動機付けを持つ社員はどうでしょう。
「今の会社で働くこと」に意味があります。
会社の存続と自己実現は一体ですので、一時的に給料が下がるようなことがあっても会社を支えることに注力してくれるでしょう。
定着を含めた経営的目線からも内発的動機付けの効果を意識してみてくださいね!