今回は、内発的動機付けの喚起に着目した定着する人材の育成方法について解説します。
人事制度を整えたのに定着しない理由は?
意欲を加味した人事制度を整えてもなんだか成果が感じられない…そんな声をよくお聞きします。
環境整備は済んでいるのにどうにも定着化が進まない。なぜでしょうか?
多くの場合、適切な目標設定やそれを達成する方法などには力を入れて制度設計がなされています。
ですが、「自社で働く意欲を生み出すこと」にフォーカスできているでしょうか。
目標設定を通じて、自社で働くことに意義が見出せなければ内発的動機は形成されません。
目標を定めてがんばる、それが適切に評価される、といったことだけならば他の企業でもできます。
制度の導入については、あくまでも「自社用に考えて作る」ことが重要で、Webサイトなどで無料公開されているひな形を参考にして作ってもあまり効果はないのです。
今からお伝えするポイントを制度に取り入れていただければ、きっと上手くいきますよ!
育成の具体的なステップ
内発的動機、つまり「仕事満足度」を高めるためには何が必要なのでしょうか。
最初に厳しいことを申し上げますが、内発的動機付けを会社の意図通りに形成するのは非常に難しいことです。
なぜなら、最終的には本人の意思によってのみ形成されるものだからです。
ですから、ステップを踏んで形成していくことが大切です。
「マズローの欲求5段階説」はご存じでしょうか?
適度なハードルの仕事を与えて、インセンティブを支給する。できればチームワークが良いでしょう。
ここまでは5段階欲求説の2段階目、外的欲求のステージであり、外発的動機付けですね。
そして仕事を進める中で、チームから刺激を受けたり、褒められたりして少し興味が出てくる。
こうなってくると5段階欲求説の4段階目まで、内的要求=内発的動機付けの発生です。
最終段階では「自己実現の欲求」が発生し、社員は自ら進んで成長への道を歩み始めます。
無理な内発的動機付けの要求ではなく、少しずつ段階を踏んでもらって自発的に形成される環境を整えましょう。
内発的動機付けに必要な要素
内発的動機付けができている働き方とは、自分自身の内面に沸き起こった興味や関心が仕事の動機になっている状態のことです。
こうした働き方をしている社員は、仕事満足度の高い人材ということですね。
内発的動機付けには「有能感」と「自己決定感」が強く影響します。
育成にあたってはこの感覚が養われているかを常に意識してください。
有能感については、仕事を進める中で「能力を発揮できている」という感覚を持ってもらえると良いでしょう。
本人の適性をよく見てあげて、力を伸ばせる部署に配置してあげてください。
向いていないことを無理にやらせると、いつまでも有能感を得ることができません。
また、小さな成功体験の積み重ねも有能感を得るのに有効です。
ちょうど良いくらいのハードルの仕事を用意してあげて、問題を解決する経験を積ませましょう。
「挑戦欲求」も満たすことができ、「好奇心」にもつながりやすいので問題解決による育成はオススメです。
自己決定感の形成には、「自分で目的を定めて立案実行している」という感覚が必要です。
指示ばかりではなく、「自分がやりたいからやっている」と本人が思える環境を作ってあげてましょう。
人は、人から指示されてやったことより、自分で選択して、自分で決めた目標を達成することは、その過程においても満足度が高く、自己承認欲求に対して非常に効果的です。
上手くできたら適切に評価してあげて、「報酬」という外発的動機付けも同時に高めてあげましょう。
人事制度を導入しても、上手く運用できていない、考えていたように社員のモチベーションが上がらない、などありましたら弊所へどうぞご相談下さい。